やっぱりこうしてあらためて見ても、すごく優れたデザインのバイクだと思います。このスパーダは、ちょうどF1でのホンダの黄金期、1988年暮れにデビューしました。イメージキャラクターに、当時マクラーレン・ホンダのドライバーだった、故アイルトン・セナを起用するなど、ホンダは相当このバイクに期待をかけていたようです。私がはじめてこいつを知ったのは、1989年。美大に入るために予備校に通っていたとき、同じ教室の仲間がみんなクルマ、F1が好きで、よくみんなで青山のホンダに行ってました。そこに目映いばかりに美しい、4色のスパーダが展示されており、一目惚れしたってわけです。「いつか乗りたい!」
結局、そのいつかは、それから11年後となりました。バイクの免許を取ろう、取ろうと思いつつ、あれから11年。ようやく中免を取得した私はいざ、きれいなスパーダをもとめて、都内のバイク屋をあちこち回りました。もう、眼中にはやつしか見えてなかったッ!色は赤ッ!
そして辿り着いた本所吾妻橋の某ショップ(ここまで言えば分かるか。)で、外装の綺麗な、走行距離3000kmの、赤スパーダを発見しました。エンジンを見ると、結構アルミ特有の白錆が浮いており、走行距離も怪しいもんでしたが、外装があまりに綺麗なので、即決、乗り出し24万で購入しました。(なぜこんなに外装が綺麗だったのかは、このバイクを手放す時に知る事となる。)
はじめて乗った時は、教習所のCB400SFとくらべて、前傾がきつくて、目線がアスファルトに近くって恐かったのを覚えてます。でもクラッチ操作など、全く不安がありませんでした。これも下からのトルクがもりもりある、Vツインエンジンのおかげです。公道デビューの私のガチガチの肩を、ゆっくりほぐしてくれる、マイルドな乗り心地でした。慣れるに従って、その加速の気持ちよさ、小回りのきくハンドリングなどなど、しっかりバイクを操れるようになってることが体感できるようになってきました。こりゃたまらん!バイクって楽しい!それを教えてくれた偉大なバイクはスパーダくんでした。さあ、遠くに行きたくなってきた!
初めてのソロツーリングは、清里でした。友人が、長坂インターをおりてすぐの、小さな画廊で、写真展を開催すると言うので、それを見に行きがてら。始めてのバイクでの高速道路も体験。空気の温度や、湿度などが、景色が変わるごとに体感でき、どんどんこの胸のムカツク都会から離れていってるんだと言う事に感動。そしてインターを降りて、目の前に信州の田園風景が広がった時は感無量でした。こ、これが、連邦の・・・否、ツーリングの素晴らしさなのか!クルマで来るのと全然違うじゃーん!
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これからバイクの免許をとって、まずは練習用として、中古のバイクを購入しようと思い、その候補に、スパーダを考えている方もいらっしゃるかも知れません。あるいは、今のバイクを手放して、スパーダを選ぶ、センスのイイ方もいらっしゃるかも知れません。このバイクはとにかく丈夫です。バイク便でも使われているように、このホンダの250ccV型2気筒エンジンの信頼性といったら、流石は世界のホンダ、です。ただし、このバイクは発売から15年が経過してますので、もちろん経年変化はやむを得ないところですが、スパーダに限らず、中古バイクを品定めする際、一番気をつけて見てほしいのは、ガソリンタンクのフチの部分。もし、塗料がフチの部分にたまって、固まっているようでしたら、これはタンクを塗り直している可能性が高いです。(メーカーのフィニッシュワークではこのようないい加減な処理は見られない。)従って、転倒暦のあるクルマの可能性が高くなるので、外観だけでなく、エンジンや、アライメントなども疑った方がいいです。実際、私のスパーダも、外見は、下取り業者が初見で驚くほど、綺麗なものでした。しかし、プロの眼はごまかせません。この時、始めて、再塗装をしたクルマだったという事を知りました。まあ乗る側としては、綺麗ならそれでもいいのですが、下取りに出す際、転倒車ということで、査定が下がります。もともとスパーダは悲しいかな、不人気車。査定額は低いので、これは痛いです。わたしのスパーダも、タダ同然で持っていかれてしまいました。後悔。でも、次のユーザーが満足してくれているだろう。メンテも出来るだけやったし。それで私は満足だ。うんうん。
スパーダを買ったら、とにかく乗って乗って、乗りまくってやって下さい。いくら乗ってもへこたれません。燃費も抜群によいですし。どんどん遠くへ出かけて下さい。そうすれば、イザ手放す時にも、手元に残る下取り額がわずかでも、「かけがえない、スパーダとの貴重な思いで」が残りますから。スパーダユーザーになるなら、その心構えで。絶対損はしませんよ。
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