01-7 春寒の能登
06年のゴールデンウィークは、まさに「黄金週間」というところで、理想的な大連休となりました。昨年は佐渡に渡ったのですが、あの時見た日本海の光景が忘れられず、昨年佐渡からの帰りのフェリ−で、「次は能登を走りたい」と思い描いた事を思い出し、「よし!」と決めて、計画を練りました。富山を拠点に、一日で能登を廻ろう!と思ったのですが、果たして…。
(今回の旅のプラン)
5月2日、調布ICより中央道〜長野道松本IC〜国道158〜奥飛騨新穂高温泉〜時間があれば高山〜国道41〜富山一泊
5月3日、北陸道富山IC〜金沢東IC〜なぎさドライブウェイ〜国道249、160とつないで能登一周〜富山二泊目
5月4日、富山散策〜国道8号〜糸魚川〜国道148(フォッサマグナ・ルート)〜白馬〜松本〜国道153〜駒ヶ根
5月5日、駒ヶ根の生家に滞在
5月6日、杖突峠〜ビーナスライン〜諏訪ICより中央道で帰宅

先日、冷たい雨にたたられたのですが、本日は手のひら返したかのような快晴。最高の能登が楽しめそうだと、期待に胸膨らませ、富山から北陸道をひた走って、金沢東で降ります。ここはインター降りてすぐ東側の「内灘海岸」。ここもバイクで砂浜に降りれます。

「内灘海岸」を北上すれば、「なぎさドライブウェイ」につながるのかと思ったらそうではなく、一旦海岸線を離れて、有料「能登道路」に乗ります。今浜ICを降りると、すぐにこの標識。もう胸が高鳴って仕方ない! これがかの、「千里浜なぎさドライブウェイ」。見ての通り、砂浜がそのまんま道になってるのです。観光バスが砂浜を走るのは異様な光景だった。砂浜と言っても、砂の粒子は細かく、水分を含んでしっかり締まってるので、オンロードバイクでも全く問題なし。
固く引き締まっているとは言っても、サイドスタンドのような、表面積が無く、重量が集中する箇所は流石にめり込んで行きます。以前、その話を知り合いのカメラマンに聞いてたので、私はしっかり、平べったい大きめの石を用意しておきました。 この開放感は、到底文章では書き表せません。
この写真は、ロッシカラーのCBR600F4iに乗ってるライダーさんと、写真の撮りっこをして、撮っていただいたものです。お気に入りの一枚。
お返しにぱちり。彼は京都から来たライダーさんです。こういう何気ない心のやりとりが、ソロツーリングのたまらないところ。そういえば、能登半島、ピースサインの返答率が高いです。
コクピット視点。頭の中では大塚愛の「石川大阪友好条約」がヘビーローテ−ションでした。歌詞になぎさドライブウェイがでてくるのです。♪いかしたウェイ!なぎさウェイ!
石川最高!ごもっとも…。
恋人と一緒にタンデムライディングしたら、きっと満足してくれると思いますよ〜。センターラインも、ガードレールも、路肩と呼べるものもないので、走行にはご注意を。このように潮干狩している歩行者(こういう場合、歩行者って言うのもなんだか変な感じ)もいます。 首を左に向けると、ずーっとこんな風景が続くのです。こんなユーフォリアを感じる道は、「八幡平アスピーテライン」「ビーナスライン」以来です。間違いなく、今まで走った道のベスト5に入ります。
なぎさドライブウェイの終点には、売店があって、そこでイカの丸焼きを購入しました。このイカ、タダのイカじゃあないです。能登、なぎさドライウェイで食べてるという、最高の調味料で味付けされているのです。ウマい! 売店の駐車場のところに、このような碑がありました。なぎさドライブウェイのはじまりを説明してあります。30年前、あるバスの運転手が、「砂浜を思い切りバスで走りたい!」と思って、実際に走った事が事の起こりだそうです。
いきなり能登の素晴らしさを体現した、なぎさドライブウェイに別れをつげ、今回は、能登半島の西側から、時計回りに出来るだけ海岸線を正確にトレースして行こうと思いました。 この辺は、能登金剛の、巌門というところ。日本海の風景らしく、奇怪の岩がたくさんあります。それより、水平線の緩やかなアーチが気になりました。地球はやっぱり丸い。 こちらが、その巌門。日本海の荒波が数千年かけてうがった洞門です。遊歩道があって、洞門の中まで散策する事も出来ます。今日は日本海、とっても穏やかです。
こちらは巌門鷹巣岩という岩。この岩の上に生える松の上に、鷹が巣をつくった事からこの名があります。
これが世界一なが〜いベンチ。全長460メートルジャイアント馬場がネッ転がっても230人の馬場を許容してあまるキャパシティ。ギネスブックにも載っています。 このベンチ、無意味につくった訳ではありません。このベンチから見える海岸は増穂浦という、夕陽の美しい海岸なのです。その美しい夕陽を、出来るだけ多くの人に見てもらいたい、との思いでつくられた、とってもロマンティックなものなのです。旅先で知る、こういう話、凄く好きです。 岸壁の母の歌詞の碑があります。ソ連によるシベリア抑留から開放され、引揚船で帰ってくる息子の帰りを待つ母親のこと。ここ、石川県羽咋郡富来町の生まれの、端野いせという女性がモデルだそうです。この事実を知ってから、この歌詞を読むと、なにかたまらないものがあります。
増穂浦、まだ朝早く、夕陽ではないけれども、このような穏やかな日本海を眺めて座ってみても、世界一のベンチに座ったかいがあるというものです。
能登の地図をパックマンとエサ、に見立てた時の、ちょうどエサっぽいところが「能登島」それとちょうど西の反対側に位置するのが能登金剛、ヤセの断崖。自殺の名所なのか、まず「自殺する勇気があるならいきてみやがれ!」との看板が目を引く。「ウワーッ!」(梅図かずお調で) さらにもう一つ、「思い出せあの日あの時親のこと」とあります。「ギニャーッ!」(藤子A調で)
ここはもう一つ、長渕剛に「生きろ生きろ生きまくれ!」などと看板をしたためて貰おうか…。しかし、「生きまくれ」って言われてもねえ。
断崖の一歩手前でとどめ。「死神をきれぬあなたに父母の声」とある。「ホゲェーッ!」(プロレススーパースター列伝調で)
さて、どんなものだか、覗き込んでみますか。
ヤセの断崖から、左側の光景。ここは松本清張の「ゼロの焦点」の舞台となったことでも有名。写真で見るとそうでもないけど、覗き込むとその高さ、55m。結構怖い。 ヤセの断崖の真正面。この崖は形状が海面に向かってオーバーハングになっているので、真下はもう海面以外何も無いのです。吸い込まれそうな感覚に陥った。身も痩せる思いとはよく言った。 こちらは右側の光景。能登の海岸線の輪郭がよく解ります。ちなみに、このそばに、義経が船を48隻隠したと言われる、「義経の舟隠し」という名所もあります。
これが、能登の風景として、最も有名であろう、白米(しらよね)の千枚田。ここの田植えは、すべてボランティアの方が手作業で(機械が入れない)やっていて、一般の人も参加できます。こちらから応募可能。 私が訪れた時は、水を張ったばかりだったのですが、つい先日(5月14日)、田植えが行われました。稲穂が育った頃や、収穫の時期に、またひときわ美しい風景になります。ちなみに、敬老の日には、ここで結婚式が行われ、夫婦の初の共同作業は稲刈りになります。(なんとステキな話) ああ、私は能登に来たんだな。という事実を、一番強烈に感じたのがこの白米の千枚田でした。
千枚田から少し走ると、「能登の親不知」(親不知は、富山〜糸魚川の途中にある日本海の景勝地。ちなみに今回の旅で通過してます。)と言われる曽々木海岸があります。曽々木トンネルの手前でいったん停まって遊歩道を歩くと、その凄さを拝めるそうですが、私は予習不足で、スルーしてしまいました。この辺は塩田も多い。 曽々木海岸の先、奥能登塩田村の先にある、珠洲大谷川では、たくさんの鯉のぼりが川渡し。優雅に泳いでいました。川に落ちる鯉のぼりの影を見てると、本当の生き物のように見えてきます。 この、大谷川鯉のぼりフェスティバルでは、結婚式「鯉恋(こいこい)結婚式」などのイベントも行われています。「鯉恋結婚式」だなんて、またしてもステキな話。
ここに泳ぐ鯉のぼり達は、日本全国から集められた、タンスに眠ったままだった鯉もあるそうです。もし、タンスの中でイジケてる鯉のぼりがあったら、ぜひまた生命を与えてあげてみてください。事務局はこちら。 ここは、能登の一番突端にある、狼煙(のろし)漁港。イカ釣り漁船が沢山停留してます。この海の先には、佐渡。昨年の今頃は、佐渡をトレースしてたんだな。ちなみに、ようやく折り返し地点。午後2時。ここから結構焦って距離を稼いでくことに…。能登は広い。
千枚田からは、食事するところが意外と無くて、午後3時前、県道28号から国道249に合流したところにある、レストラン浜中というところでようやくお食事。いしる鍋という、イカやイワシの内蔵をつけ込んでつくった魚醤を使った郷土料理をいただく。秋田の「しょっつる」よりも、強烈な海の味。正確には「いしる」は、イワシの腸から作り、イカの内蔵からつくるものは「いしり」というのだそう。 海岸線をトレースするため、一旦国道249から分岐して、穴水町を海岸線に沿って走る、県道34号に入ります。この道は、平均1.5車線と狭く、カーブミラーもないところがあるので、走行注意。 この道、海側にガードレールが無いので、海がすぐそこで、本当に海岸線ギリギリを走ってる感じがします。
だいぶ日も傾いて参りました。穏やかな七尾北湾も、銀色に輝く。それにしても、この辺、「飛び出し坊や」が多いこと…。みうらじゅんに教えてあげたい。(「飛び出し坊や」で検索してみて。) 県道34号から再び国道249に合流したところにある、ボラ待ちやぐら。やぐらの上に、一人、ジッとボラの群れを見張って、綱でとらえる漁法。現在では行われておらず、このように観光用に残されています。 やぐらには、ちゃんと漁師の人形がジッとボラを待っています。
ようやく、能登島へ渡る橋、「ツインブリッジのと」が見えてきました。99年開通と、新しい橋。今回はもう時間がなく、能登島へは渡りませんでした。
能登半島を人の口に見立てた時に、ちょうど舌のように見えるところに、能登最大の温泉地、和倉温泉があります。立寄温泉「総湯」に立ち寄る。入り口にはこのように足湯と…。 飲泉所があります。このお湯、かなり塩辛い。この温泉施設、中の様子はスーパー銭湯という感じで、あまり風情はないのですが、明治32年開業と歴史は古いのですね。 和倉温泉は開湯が1200年前。しかし、今のようなにぎわいになったのは戦後になってから。大型の旅館などが建ち並び、人でも多く、かなりにぎやかな温泉街という印象です。もう日も暮れかけ、ここから富山まではもう一気バシリでした。能登は一日ではちょっと勿体ないです。絶対また来ます。
この旅の初日は雨に祟られました。松本ICを降りて、野麦街道を西へ。どうしても入ってみたい温泉、奥飛騨温泉郷の、新穂高温泉は、「新穂高の湯」を目指します。途中、寒さに負けそうで、安岐峠道路のトンネルでワープ。料金所を出ると、そこは残雪と濃霧の世界。 これから、この霧深い山を登って行きます。温泉のための一試練、唇を噛み締める。新平湯温泉を超えて、県道475へ分岐して、東側に進めば栃尾温泉、さらに進めば新穂高温泉。 栃尾温泉は、蒲田川のすぐわきにある寸志の湯、「荒神の湯」が有名です。こちらには最初、入る予定が無かったのですが、目的の「新穂高の湯」がぬるくて、余計に寒くなったので、戻ってきてはしご湯しました。蒲田川を望む、開放的な露天です。単純泉ですが、ほのかな硫黄の香りがなかなか。
こちらが新穂高温泉、「新穂高の湯」。混浴露天なので、ちょっと遠慮がちに撮影。(左下に見えるのが浴槽)水着着用可ですが、あまりに野趣満点なので、私は生まれたまんま入る。浴槽はかなり広く、底にしかれた細かな砂利も心地よい。ぬる湯なので、寒い時期は一度入ったら出れません。
時間もあるので、高山市を通ってみようかと、国道158へ戻って、高山を目指します。道中、またも濃い霧と低い気温に襲われましたが、高山市も近づいて、標高が下がると天気も回復。冷えきった体に嬉しい、高山ラーメンを、ドライブステーション板蔵というところで食べました。コクのある和風の醤油味が、忘れられない味になりました。麺の歯触りも最高。かなり私好みのラ・アーメンでした。 このドライブステーション板蔵は、道の駅みたいな雰囲気で、高山ラーメンの工場も一緒になってて、見学も出来ます。飛騨高山のお土産も買える。何故か「西武警察」グッズも買える。でも、高山と言えば、この郷土玩具、「さるぼぼ」。高山のファミマでは「ファミボボ」というオリジナルカラーのさるぼぼが手に入るそうな。奈良の庚申堂、「くくり猿」の親戚かな? 高山市街に入ると、メインストリートはもう駐車場待ちの大渋滞。一大観光地という様相でした。せめて、少し散策しようと、ちょっと市街から外れたところにある、飛騨国分寺を訪ねました。立派な三重塔が目をひいた。
境内の立派な大銀杏の幹に、こんな可愛らしい地蔵様。なんでもこの銀杏、母乳のでない母がお参りすると、よく出るようになると言われ、この地蔵さんは、子育地蔵尊と言うそうです。よだれかけに「大塚」と書いてます。大塚ー! これもまた立派な鐘楼。何となくこの鐘楼を造る木の色なんか、飛騨高山らしい感じがします。 三重塔と、桜。今年は長いこと桜が楽しめて大変嬉しい。
今回の能登の旅は富山のビジネスホテルを拠点にしました。富山には朝と夜しかいられず、あまり散策できませんでした。でも、この路面電車、富山らしいです。富山のクスリを買いたかったが、普通にコンビニとかで売られてる訳ではないのですね。富山とはいえ、当たり前か。 ライトアップされた富山城。富山はもっと城下町っぽい街なのかと思ったら、結構都会的な雰囲気でした。高岡とか、あの辺に行けばもっと富山らしい風景にあえるのかな。高岡と言えば大仏。藤子不二雄のまんが道。今回は寝泊まりするだけでしたが、こんどは富山をゆっくり旅したいと思います。 富山から能登へ向かうときに、立ち寄った北陸自動車道は、不動寺PA。素晴らしいカスタマイズのV-maxのおじさんとしばし話していると、いつのまにかこんな猫が寄ってきた。妙に人懐っこく、私の膝にアゴを乗せて、「なんかくれ。」
富山から日本海沿いの県道1号を新潟方面に走る。途中、このような、海洋深層水のサービスステーションが散見。この海洋深層水、富山の人たちの生活にかなり重宝されているそうです。一杯飲ませていただいた。 ここは、魚津市の海岸。この海岸線の道路は蜃気楼ロードと呼ばれています。その名の通り、ここから富山湾を眺めると、条件によっては蜃気楼が見られるそうです。私も一生懸命蜃気楼を待ちました。「うおおお蜃気楼ォォォ出ろォォォー」その結果…(クリック) 条件が良ければ、このように海面に工場の施設のような蜃気楼がボヤーンと浮かぶのです。長澤まさみじゃなくて。蜃気楼の仕組みについては、こちら。
私がここを訪れたのは朝9時頃。この日も11時半くらいにハッキリと蜃気楼が観察されたそうです。一足早かった。
サギ…ですよね?なんてサギでしょうか? うみねこ。と、その前に飛ぶのはなんだ?
入善町でちょっと国道を離れて海岸の方へ向かうと、そこはのどかな農道で、チューリップ畑がありました。 富山でチューリップと言えば、砺波市が有名ですが、こちらも北アルプスをバックにして、これが富山の春なんだなと思える光景でした。 富山オリジナルの品種もあるそうで、こちらは「トナミシティー」。砺波市には毎年年賀状送ってくれる、高校の時の美術部の先輩が住んでるので、なんとなく愛着があるんだな。先輩もこんな感じの人です。
土地の名前だけでなく、生産者の名前もついてたりして面白いです。私の気になったのは、「ザ・グレゴール・ミズノ」という品種。「ザ・グレート・カブキ」みたいでしょ。 私が訪れた時はちょうど収穫作業中でした。 この八重咲きのチューリップは珍しいですね。チューリップといえど、一重、百合咲きなどなど、いろんな花形があるんですね。
さっき海猫の前を飛んでたやつだ!変わった水鳥です。なんという種類でしょうか?情報求む!
富山の海岸線を名勝親不知を左に眺めながらしばらく走って、糸魚川で松本に向かう国道148号に乗って南下して行きます。この道は、フォッサマグナルートと言います。フォッサマグナって何?という方はこちら。わたし、この道を走ってるときに、幼い頃見てトラウマになってるテレビ版「日本沈没」の主題歌が頭の中でずっとかかりっ放しでした。(五木ひろし「あしたの愛」)スノーシェルター連続するが、淡々と、退屈な道。眠い。 しばらく走ると白馬のあたりで見えてくる、北アルプスにハッと目がさめる気持ち。 一番高いのが白馬岳。ちなみに、国道148と平行して走る県道433は千国街道、別名塩の道と言われ、信州と越後を結ぶ重要な経済路線でした。
白馬の南側に、木崎湖という小さな湖があり、そこに木崎湖温泉ゆーぷる木崎湖という日帰り入浴施設があるので、食事がてら立ち寄ることに。一風呂浴びて食事していると、同じXJRオーナー、わきらさんから、「そこから黒部ダムのトロリーバスの発着地点が近いよ」とのタレコミが。行ってみることに。立山連峰がお迎え。 木崎湖から西に伸びる県道45号、通称大町アルペンラインを走ると、トロリーバスの始発駅、扇沢駅があります。クルマも、バイクも、この先はトロリーバスに乗り換えて、黒部ダムまで行かなくてはなりません。あたりはまだまだ雪景色でした。トロリーバスはすし詰め状態。今回は乗るのは遠慮しときました。 見た目はクルマですが、これでもれっきとした電車です。自然に優しいのです。(でも持ってた図鑑の自動車の図鑑に載ってたような…)それにしても、レールもないのに、上のパンダグラフは脱線したりしないのだろうか?今回は外から眺めただけですが、次回は実際に乗ってみたいです。
生まれ故郷駒ヶ根からの帰り道、いつもなら国道152号で杖突峠を超えて、ノンビリ甲州街道、あるいはズバッと中央道で帰るのですが、今日は天気もいいので、そのまま152号でビーナスラインへ。まだ冬枯れだね〜。 ビーナスラインはこれが3回目。1度目は濃霧に行く手を阻まれ、途中で断念、2度目は一昨年の秋。今回目に入る風景は、初秋に見た風景とあまり大差ない。まぶしい新緑は、もう少し先のようです。 様々な表情を見せてくれる、ビーナスラインの最初のハイライトは、なんと言っても白樺湖から霧ヶ峰の区間でしょう。ガイドブックなんかでもこのポイントで撮影された写真をよく見ます。6月半ばくらいには、ウソっ!てくらい緑と空の青の世界。遮るものがない、高原の風景は爽快です。
途中のお休みどころで、五平餅を食べました。長野に住んでた頃は大好物でよく食べたな〜。甘辛いクルミの味噌が香ばしくて、この味、この味。 今回、新緑とは遠い風景でしたが、ビーナスラインのもう一つの主役は「空」です。真珠を飲み込んでなお、まだ空の美しさが残ってるからよし。 空に向かって走る!
美ヶ原の手前は登りのヘアピンの連続で、スリル満点。すると、美ヶ原高原美術館方面と、美しの塔のある、美ヶ原牧場方面へ分岐します。今回は美しの塔の方へ。ビーナスラインの一つの象徴とも言える、山本小屋はまだ深い雪に覆われていた。 売店のある駐車場にバイクを停めて、しばし美ヶ原牧場を散策。風は強いし、寒い。流石に放牧はしてません。標高2000m。とても空に近い場所のような気がします。 美ヶ原のシンボル、美しの塔。美ヶ原で採掘された鉄平石で出来た、霧鐘塔です。霧が深い時はこの塔の鐘を鳴らして、登山者の道しるべとします。
これが美しの塔の内部…美しい。右手に見えるのが美しの鐘を鳴らす、美しのハンドル。この美しのハンドルの美しのヒモが、美しの鐘に連動していて、引っぱると美しの音色が美しの美ヶ原牧場に美しく響き渡るという案配。そして美しの…(省略) この美ヶ原牧場の散策路は、遥か、王ヶ頭まで続きます。このアンテナはテレビの放送局の中継施設。アンテナのすぐそばに、美ヶ原で最も高いところにあるホテル、王ヶ頭ホテルがあります。一度は泊まってみたいものです。 遠くに八ヶ岳が見える。
美ヶ原牧場の駐車場でお昼。やっぱ信州と言えば、おそばでしょ。信州の、美ヶ原を眺めながらという最高の調味料で食すソバはひと味違うぞ。店内はすごくのんびりしたアナウンスで、美ヶ原の観光案内がときおり流されます。 扉峠の駐車場にて。ビーナスラインは、また、梅雨明けにでも来ようかな。まだ、新緑の、レンゲツツジや、ニッコウキスゲの咲き奢る、ビーナスライン本来の美しさを見ていないから。
さて、今回の目的は能登半島一周ということで、目的は達成しましたが、やはり一日でまわるのは無理がありました。能登島や、能登の東南側の海岸線(真っ暗の中走った)、高岡市の雨晴海岸の宙に浮かんで見える立山連峰の図など、見たかったな〜。今度は輪島あたりで一泊という計画で、いつか訪れたいとおもいます。
富山のことももっと知りたいし、金沢もかすめただけ。高山ももっとゆっくり見たい。なんだか結構中途半端。
それでも結局、長野、岐阜、富山、石川と走ってきて、かなりボリュームのあるツーリング記となりました。天気も初日はヒドかったけど、そのあとはほぼ快晴。都内ではもうすっかり春も遠のいたと思ったのに、駒ヶ根の「花桃の里」(「花吹雪」参照のこと)、富山のチューリップ畑と、その土地その土地の春の風景に出会えた。あれはよかったな。
いい風景に、いい出会い、ウマい食べ物、ウマい酒で、リアルな生きてる実感。やっぱり一人旅ってやめられません。