01-17 本州最北端
2009年の最初のロングディスタンス。まだライダーとして駆け出しの頃に青森の左側の津軽を訪ねてから、青森の右側、ということでずっと行ってみたかった下北半島の突端を目指す事にしました。
しかし、2009年は梅雨が長引き、秋田の実家についてからも連日の雨。それでも、「今しかない」と奮起して、本州最北端を目指して走り出しました。
(今回のルート)
1日目/秋田市の実家→秋田南IC→能代南IC→国道7号(能代〜大館)→国道103号(大館〜十和田湖)→十和田湖→国道102号奥入瀬→国道4号(十和田市〜野辺地)→国道279号(野辺地〜むつ)→県道4号(むつ〜恐山)→恐山→むつ市で一泊。
2日目/県道6号(むつ〜尻屋崎)→尻屋崎→県道6号〜県道266号〜国道279号(尻屋崎〜大間崎)→大間崎→国道338号〜県道253号(大間崎〜仏ヶ浦〜むつ)→国道338号(むつ〜おいらせ町)→八戸IC→秋田南IC。
横浜の自宅からドア・トゥ・ドアの総走行距離2,427km

9十和田湖の南側が一望出来る、国道103号の発荷峠の展望台より、十和田湖。

十和田神社のある、中山半島方面を見る。手前に恵比寿島。 十和田湖のシンボル、乙女の像。詩集「智恵子抄」の高村光太郎の作。
遊歩道の横に、「火の神」「風の神」と名付けられた洞窟がある。 十和田湖から奥入瀬へ向かう途中、青森の謎スポット、キリストの墓へ向かう道を発見。B級スポットかと思いきや、結構真面目な話みたいです。 国道102号。奥入瀬渓流と平行して走る。新緑と、美しい流れと解け合う、日本屈指の名道。
国道の横を、ゆるゆる流れる奥入瀬渓流。銚子大滝付近。 晴れも雨も関係なく、鬱蒼とした光景に息をのむ。 丁度新緑の頃だった為、時々差し込む木漏れ日が、幻想的な光景を生み出していた。
国道から見える銚子大滝。奥入瀬渓流沿いには遊歩道が完備されており、気軽な渓流トレッキングを楽しめる。 全てのものに、神は宿る、そんな言葉もあながちウソではないなと思わずにはいられなかった。 道の駅「奥入瀬ろまんパーク」で昼食を。ステーキレストランがあったので、和牛カレーをオーダー。肉が大きくっておいしかったです。
駐車場も広くて、親水公園や、地ビールを楽しめる施設もある。なかなか充実の道の駅です。 道の駅のトイレにいた、人懐っこいネコ。卑しい都会のネコとは目つきが違う。
野辺地から国道279号に乗ると、いよいよ下北半島突入。一路むつ市を目指して北上。 野辺地湾の向こうに、恐山が見えた。来たなあという感じがした。 横浜市付近。ここは、春には菜の花が咲き乱れる事で有名。菜の花の季節に、また訪れたい。
恐山の手前、湯坂温泉と呼ばれる場所。それらしい雰囲気はまったくなくて、硫黄の香りが鼻につく。荒涼としていた。 恐山の境内。日本三大霊場の一つだけあって、ただならぬ雰囲気がある。 恐山の風景のアイデンティティーは、お地蔵さんと風車。
「人は死ねばお山さ行ぐ」
あちこちに火山岩が生み出す地獄が散見。
宇曽利山湖。文字通り(?)うっそりしてる。ここだけ、極楽浄土だそうです。 強酸性の水質で、生物は住まないとされていたが、ウグイが住んでいるらしい。
私の道案内をしてくれた、キジバト。
地獄の道先案内人。
重罪地獄。 金掘地獄。
恐山の境内には、参拝客が無料で入れる温泉がいくつかあります。 冷抜湯を頂いた。誰も入ってなかったので、ホントにいいのかしらとおもいつつ、感謝しながら入る。
熱い湯で、温泉の成分も濃く、とってもいいお湯でした。
むつ市の海上自衛隊大湊基地。鉄の城が整然と並ぶ。荒涼とした恐山とは対照的の、物々しい光景。 大湊のオオセグロカモメ。尻屋崎の寒立馬とともに、下北半島で印象的な動物。 護衛艦が入港するシーンに出会えた。こういうのにワクワクするのは、男子の宿命也。
2日目の早朝、むつ市から尻屋崎へ向かう県道6号。果てしない直線路がある。前日に十和田湖の前で速度超過で捕獲されたので、恐る恐るアクセル捻る。 だんだんと、果ての雰囲気が展開されていく。しかし突然、巨大な日鉄の鉱山事業所が現れたりと、ここにも人の営みがちゃんとあることの不思議。 尻屋崎へ至る道の途中、ゲートの近くを寒立馬(かんだちめ)が群れなして、歩いていた。会えた…。
この日は小雨が降っており、到着した時間が朝7時と早かったせいもあるのか、尻屋崎灯台の方には彼らはおらず、ゲートの近くの牧場に放牧されていた。 尻屋崎灯台へ向かう道の入口のゲート。ボタンを押してゲートをくぐる。
4月1日〜30日 8:00〜16:00
5月1日〜11月30日 7:00〜17:00
12月から3月は、閉鎖されます。
尻屋崎の灯台。東北の灯台第一号。
戦争で破壊された後も、光を放ち続けたという逸話がある。
この日はあいにくの小雨で、寒立馬はこの光景にはいないが、しっかり落とし物は沢山残ってる。足下注意です。 ツーリングマップルに、「日本で一番絵になる岬」とあるが、どんよりした風景が、より果てを感じさせて、良かった。 「日本際涯の地」の碑。
ゲートの方へ戻って、放牧されている寒立馬に会う。もう少し小太りの馬、という印象があったのだが、割とスマート。寒くなる頃には衣替えを、するのだろうか。 牛の群れも。寒立牛?
下北半島の上辺をなぞって、今度は反対側の突端、大間崎を目指す。途中にかつて本州最北端の駅だったと言う、大畑駅の駅舎を訪ねる。 かつては大畑線の鉄道駅だったが、現在は廃止され、バスの案内所となる。ホームや線路、信号機はそのまま残っている。 待合所のダルマストーブが北国を象徴する。この駅が廃止となった為、現在の本州最北端の駅は、JR大湊線の下北駅である。
下北半島の上辺を、曇って見えない北海道を想像しながら淡々と走って、本州最北端の地、大間崎に到着。
おなじみのマグロ一本釣りのモニュメントがお出迎え。
「やったぞ〜!!」
お約束です。
海の向こうに弁天島と、その灯台。ストライプが男鹿の入道崎の灯台そっくり。
このあたりもオオセグロカモメが沢山住み着いており、おみやげ屋さんのオバチャン曰く、「いいマグロ食べてっから、太ってる」んだそう。 本州最北端の飼い犬。ここに来ると、なんでも「本州最北端」という称号が付く。その他にも「本州最北端の小学生」「本州最北端のお便所」などなど。 石川啄木の碑。
「大といふ字を百あまり砂に書き死ぬことをやめて帰り来れり」
「東海の小島の磯の白砂にわれ泣きぬれて蟹とたはむる」
「大海にむかひて一人七八日泣きなすと家を出でにき」
彼も、ここに来た時は落ち込んでいたんだな。
折角大間に来たのだから、マグロを食べねばと、食事どころでマグロ丼を注文。2,500円也。高いけど、値段相応のウマさはあった。でも、季節柄、大間産ではないらしい。旅先ではそんなこと、気の持ちようで、なんとでもなることです。 しばらくして、観光バスの群れが到着、一気に活気付く大間のおみやげ屋さん。なにか戦々恐々として、最果て感がないのであった。でも、お陰で元気になれました。 「ここ本州最北端の地」
この19km先には、北海道。
遅咲きのライダーである私ですが、何となく、これで一区切りなのかな、と思った。日本一周にはまだまだだけど、いつまでもこんなことばかり、してられないんだな。
大間崎をあとにして、国道338号を延々南下する。津軽海峡に面する海岸の風景は変化に富んでいるのだが、クルマも少なくて、寂しさばかりつのってくる。 仏ヶ浦を見下ろす。このとき12時過ぎ。秋田の実家まで、7時迄に帰らなくてはならない用事があって、もう早送りモード。「7時までに、帰れるのか知ら…」 水浴びするカモメ。この後、むつに戻って下北半島の東側をずっと南下して、八戸から高速に乗ったのだが、これが私が下北で最後に見た風景のような気がする。あとは、覚えていない。
あいにくのお天気で、殆ど晴れ間も無く、ドンヨリとした風景でしたが、同じく雨の中を走った津軽半島とはまったく印象が違うような気がしました。日本海沿いの風景よりも、寒立馬の表情のように、何となく優しく、おっとりとした感じがありました。ホントは、晴れてる時の方がもっと下北半島らしい風景が見られたのかもしれません。
ずっと雨でしたが、少なくとも、虚ろだった私の心は晴れた。

秋田から十和田湖をかすめて下北へ向かった訳ですが、お隣の県とは言え、東北は広い。
そして、いろんな表情を持っている。そんなことを再認識させられた旅でありました。